関数の媒介変数表示での表現と媒介変数表示の微分公式を学ぶ. 教科書p78-80の範囲.
$x$と$y$についての関数を$y=F(x)$と表す代わりに, 第三の変数$t$を用いて, $$x=f(t),\qquad y=g(t)\tag{1}$$ として, 関数$y=F(x)$または曲線$y=F(x)$を間接的に表すことがある. このとき, (1)を$y=F(x)$の媒介変数表示といい, $t$を媒介変数とかパラメータと呼ぶ.
定理 媒介変数表示$x=f(t), y=g(t)$で関数$y=F(x)$が表されているとき, $f(t), g(t)$が微分可能で$f^\prime(t)\ne 0$ならば, $$F^\prime(x)=\dfrac{g^\prime(t)}{f^\prime(t)}\tag{2}$$ が成り立つ. この式は $$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\left(\dfrac{dy}{dt}\right)}{\left(\dfrac{dx}{dt}\right)}\tag{3}$$ とも書かれる.
証明 $y=F(x)$に$y=g(t), x=f(t)$を代入すれば$g(t)=F(f(t))$である. この式の両辺を$t$について微分すれば, $$g^\prime(t)=F^\prime(f(t))f^\prime(t)$$ を得る. この両辺を$f^\prime(t)$で割り, $x=f(t)$を用いれば, $F^\prime(x)=F^\prime(f(t))=\dfrac{g^\prime(t)}{f^\prime(t)}$が得られる.
例 $x=t+2$, $y=t^2+1$という媒介変数表示について, $\dfrac{dx}{dt}=1$, $\dfrac{dy}{dt}=2t$であるが, $t=x-2$なので, 定理の(3)より, $\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{2t}{1}=2(x-2)$を得る. これは媒介表示されている曲線$y=(x-2)^2+1$を直接微分しても簡単に計算することができる.
例
$x=t-\sin t$, $y=1-\cos t$という媒介変数表示によるサイクロイドについて,
$\dfrac{dx}{dt}=1-\cos t, \dfrac{dy}{dt}=\sin t$なので,
定理の(3)より, $\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\sin t}{1-\cos t}$が得られる.
さらに$t=\dfrac{\pi}{3}$における点$P$の接線の方程式を求めてみる.
点$P$の座標を$(u,v)$とおけば,
$$u=\dfrac{\pi}{3}-\sin\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{\pi}{3}-\dfrac{\sqrt{3}}{2},\qquad
v=1-\cos\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{1}{2}$$であり,
また, 接線の傾きは
$$\left.\dfrac{dy}{dx}\right|_{t=\dfrac{\pi}{3}}=\dfrac{\sin\dfrac{\pi}{3}}{1-\cos\dfrac{\pi}{3}}=\dfrac{\left(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)}{\left(\dfrac{1}{2}\right)}=\sqrt{3}$$
である.
従って, $t=\dfrac{\pi}{3}$における点$P$での接線の方程式は,
$$y=\sqrt{3}\left(x-\dfrac{\pi}{3}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)+\dfrac{1}{2}$$
で与えられる.