日大工 総合教育 樋口幸治郎
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結婚定理(ホールの定理)は二部グラフが完全マッチングを持つことの特徴付けを与える定理です. 一般の無向グラフが完全マッチングを持つことの特徴付けを与える定理として, タットの定理と呼ばれるものがあります. しかし, この特徴付けは結婚定理の特徴付けとは大きく異なるものとなっています. リンク先では, 結婚定理の条件に近い形で, 一般の無向グラフが完全マッチングを持つことを, "現代版結婚条件"を満たすこととして特徴付けています.
リンク先の資料は, 2016年11月に早稲田大学において行ったセミナーを元に作成しました. 予備知識は必要としませんがある程度の数学的成熟度を持った読者を想定しています. ゼミ参加者の藤原誠先生との議論により, もともとの証明に大いに欠陥があることが分かり, しかし, それを修正することもできました. (藤原先生どうもありがとうございました.)
問題. ハルモスとヴォーガンは論文"The marriage problem"の最後のパラグラフにおいて, 多重婚問題が解を持つという条件について考察している. より一般の無向グラフにおいて, 多重婚問題が解を持つときを特徴付けよ.
上の資料は「数学基礎論とその応用」(2016年9月26日, RIMSにて)での発表に用いたものです. 資料中, 発表時に用いなかった項目のほとんどが未だ"Under construction"ですが, 熊本城が元通りになる頃までには作ります.
発表中Bakh Khoussainov先生に, 発表タイトルの名前は, 既に別の概念に使われているとの指摘を受けました. 今後は"computably represented structure"と呼んでいたものを "computable prestructure"と呼ぶことにしようと思っています. (Bakhさんどうもありがとうございました.)
球体を有限分割して組み直すと, もとの球体と同じ球体が二つできるという, 錬金術的定理があります. これはタルスキ・バナハのパラドクスと呼ばれる定理です. このパラドクス以前に, ハウスドルフによって, 球面に関する似た定理が示されていました. 球面を有限分割して組み直すと, もとの球面とほぼ同じ(=可算個の点の違いを除いて同じ)球面が二つできるという定理です. これはハウスドルフのパラドクスと呼ばれます. 証明には選択公理が使われます.
2016年9月に上記の定理の証明についてゼミをしました. リンク先に証明をまとめたノートを置いています. 読者としては, 大学数学科で勉強してきた人の知識と数学的成熟度を想定しています.
リンク先のノートにおいて, 自由群を合同変換群の中に埋め込むところの証明は, セミナー参加者の今野達夫先生からいただいた多くの助言に負っています. (今野先生どうもありがとうございました.)
問題. 球体に有限回ナイフを入れてうまく分割して組み合わせると最初と同じ球体が二つできる, というためには, タルスキ・バナハのパラドクスでの分割の各成分が, 少なくとも連結でなければいけないと思われる. そこで, 有限分割で, しかも, 各成分は連結という制約を設けてもタルスキバ・バナハのパラドクスは成り立つだろうか?